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幻滅

19世紀フランスの文壇を代表する文豪のひとり、オノレ・ド・バルザック。社会を俯瞰し、そのなかで翻弄されるさまざまな人間像を冷徹に描く彼が、44歳で書き上げた「人間喜劇」の一編、『幻滅——メディア戦記』を映画化した本作は、200年も前の物語とは思えないほど、現代と酷似したメディアの状況を鋭利に描いた、社会派人間ドラマだ。メガホンを握ったのは、『偉大なるマルグリット』(15)『情痴 アヴァンチュール』(05)等で知られ、バルザックの原作を学生時代から映画化したいと望んでいたグザヴィエ・ジャノリ監督。念願の本作で、フランスのアカデミー賞と言われるセザール賞において、作品賞、最優秀助演男優賞(ヴァンサン・ラコスト)、有望新人男優賞(バンジャマン・ヴォワザン)を含む最多7冠を受賞した。

STORY

“リュシアンにとってすべてはインクと紙、美への愛から始まった”——19世紀前半の牧歌的な田舎町アングレーム。小さな印刷所で働くリュシアンの心は、詩と、愛する人への思いにあふれていた。彼の夢はいつかパリに出て、詩人として成功すること。そんな彼の良き理解者であり、憧れの人が、名門貴族で高齢の夫を持つルイーズ・ド・バルジュトンだった。ルイーズは彼の才能を認め朗読会を開くが、リュシアンの純粋な詩心を理解する客はいなかった。一方リュシアンとルイーズは心を通わせ、ふたりは密会を重ねる。